個人がお金を借り入れる目的として、多いのが住宅ローンの借り入れや自動車ローンの借り入れがあります。その他にも、近年では日銀のマイナス金利政策により銀行の収益が低下したことにより、各行がカードローンサービスを強化したことにより、カードローンを使って日々の生活費の補填を目的に利用する方も増えています。
この様な中で、多重債務の方が住宅を手放さないで債務軽減ができる方法として挙げられる「個人版民事再生」についてその仕組を解説します。
個人版民事再生は住宅ローン以外の債務を軽減する措置
個人版民事再生は、住宅ローンの他に、自動車ローンやカードローンなど複数の借り入れがある「多重債務」状態により返済が困難になった場合に、住宅ローン以外の債務に対して、個人向けの債務軽減措置です。
民事再生制度は、主に経営に行き詰まり借入金の返済が困難になった企業が使う措置であるというイメージが大きいですが、企業の場合は、将来の収益から再生債務をい弁済する、もしくは、第三者に事業を売却し、その売却資金を債務の返済に充てるものです。
個人の場合は、給与所得や事業所得など、将来得られるであろう収入をテコに債務を軽減する措置です。
個人版民事再生は「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つがあり
個人版民事再生は、個人事業者や自営業者を対象として「小規模個人再生」と会社員等を対象とした「給与所得者等再生」の2つがあります。個人再生を望む者が、事業所得なのか給与所得なのかによって適用できる措置が決まります。
そのため、事業所得と給与所得と共に、将来的に一定の収入が見込める場合に適用できる債務軽減措置となります。
住宅を手放さない代わりの残りの債務を3年で償還する必要がある
個人版民事再生を適用した場合は、債務の金額に対して最大10分の1まで軽減することができます。原則3年以内に返済を終わらせる必要があります。
そのため、金額は5000万円以下であることが条件となります。ただし、借入金額が100万円未満の場合は、全額返済となってしまいますので実質この制度は使えません。
個人版民事再生を適用後の返済額は、100万円以上500万円未満が100万円、500万円以上1,500万円以下が5分の1、1,500万円以上3,000万円未満が300万円、3,000万円以上5,000万円以下が10分の1となります。
個人版民事再生適用後はクレジットカードの発行や新たなローン契約は不可能
個人版民事再生は、既存の住宅に住み続けながら債務軽減を行えるメリットはありますが、個人版民事再生を適用した場合、信用機関にその旨が登録されますので、自己破産などと同様に、クレジットカードの新規発行や新たなローン契約は不可能になります。
一度記録された情報は5年間は記録として残っていることから、個人版民事再生を適用して3年で完済後、5年以上の期間を置く必要があります。