中国で個人間でお金を貸し借りする個人間融資が広がっています。中国では信用リスクが非常に高いことから、利回りが8%から12%程度と高く、資金の運用難が続いていることから、個人マネーが流れてきています。
個人間融資残高は8857億元(約14兆6000億円)
2017年3月17日付の日本経済新聞朝刊の記事によると、中国の個人間融資の残高は、2017年2月時点で8857億元(約14兆6000億円)で、ここ2年程で8倍に拡大しているとのことです。
この個人間融資の多くはインターネットを通じて行われる「クラウドファンディング」と同様で、日本国内でも利用が広がっています。
中国のインターネット人口は、2016年8月3日付の朝日新聞の記事によると、7億人を突破しており、世界最大のインターネット人口を保有する国となっています。近年では、決済サービスや出前注文など生活上の基盤サービスをインターネットで提供する事業者が増えるなど、使い方も多角化しています。
利回りは8%から12%と利回りが高い
中国で増加している個人間融資は、利回りが8%から12%と非常に高いのが特徴で、この利回りの高さが個人投資家の人気を集めている要因と言えそうです。
個人の多くが、融資を募る際に、自身が所有している自動車を担保として、インターネットで融資を仲介する業者が自動車の鍵を預かることで、貸倒れリスクを抑えると同時に、資金を貸し出す投資家には高い利回りを確保しています。
個人間融資が増える背景は資金の運用難にある
個人間融資が増加している背景としては、2015年におきたチャイナショックによって、中国本土を株安が襲った出来事から、資産の運用難が続いていることです。
チャイナショックの要因の1つでもありましたが、中国の株式市場は短期筋による売買で株価が適正水準より大幅に高く取引される傾向が強いことから、上海総合指数も大幅に上下しているのも特徴で、長期的な投資が難しいといった特徴があります。
さらに、中国の銀行預金の金利は1年間の定期預金で1.5%であるのに対して、インフレによる物価上昇などで資金の価値が下がってしまうことから、お金の運用が大変厳しい状況です。
中国は信用情報インフラが未発達
中国では、金融システムにおいて信用情報インフラの発達が不十分であることから、クレジットカードやキャッシングなど消費関連の金融サービスの普及が進んでいないのが現状で、個人が資金を借りるということは少ないのが現状です。
この様な状況の中、インターネットを通じてECサイトなどの取引履歴などから、支払い履歴などを参考に信用を評価するなど、インターネットを通じて、信用を確認するモデルが増えています。
今回の個人間融資についても、個人間で取引を行うことで、評価を蓄積して信用評価を上げることは同様で、個人向けの信用情報インフラとしてインターネットを通じて蓄積された評価データをビッグデータとして活用する可能性も考えられます。