「生命保険の外貨建て保険とは、どんな保険ですか?」
「外貨建て保険のメリットデメリットを教えてください。」
「外貨建て保険はどう使うべき保険ですか?」
生命保険の外貨建て保険とは一体どんな保険でしょうか?外貨建て保険に入る必要がある人とは、どのような人でしょうか?今回は、外貨建て保険の仕組み・メリットデメリット・おすすめの方・活用法について丁寧に説明します。
外貨建て保険とは
外貨建て保険とは
保険料払い込み、保険金の受取を外貨で行う保険のこと
を言います。
- 日本円で支払い → 日本円を外貨に両替 → 保険料の支払い
- 保険金・解約返戻金 → 外貨で受け取り → 日本円の両替 → 日本円で受け取り
という形で
外貨建て保険を利用する方は、日本円で保険料を支払い、日本円で保険金を受け取れるのですが、実質的に外貨の両替されて、外貨建てで入る保険のことを「外貨建て保険」と言います。
外貨というのは
米ドル
ユーロ
などの主要な通貨が選択できるものが多いです。
日本の生命保険会社でも、日本円建ての生命保険では、日本円の金利が低い状況が続いているため、返戻率が高くならないため、最近では、金利が高い米ドルなどの外貨建て保険商品が多く提供しています。
外貨建て保険に多いのは「終身保険」「個人年金保険」「養老保険」です。
外貨建て保険は、なぜ、金利が高いの?
通貨の金利というのは、基本的には「国債の金利」をベースに考えられることが多いです。
2023年5月時点では
- 日本の10年物国債金利は、0%に近い低金利 → 保険会社が預かった資金を国債で運用したとしても、ほぼ利息がでない状態
- 米国の10年物国債金利は、3.5%に近い低金利 → 保険会社が預かった資金を国債で運用したとしても、年率3.5%程度の利息が出る状態
です。
保険会社が預かった資金を運用する方法は、国債だけではありませんが、どの運用方法でも、ベースになるのは、その国の金利であり、その国の金利は、国債金利をベースとします。
- 結果として、米国の金利が高い状態では、米ドル建ての保険を利用した方が、保険会社は高利回りで資産を運用できるため、結果として、返戻率が高くなるのです。
外貨建て保険のメリットデメリット
メリット
1.高い返戻率が期待できる
最大のメリットは
高い返戻率
です。
一概には言えませんが
日本円建ての生命保険の返戻率は、20年、30年あっても、105%前後になってしまう場合に
米ドル建ての生命保険の返戻率は、20年、30年で、120%~150%というケースもあるのです。
老後資金を貯めるという保険の役割は、外貨建て保険の方が、何倍も期待できるのです。
2.為替差益が期待できる
外貨建て保険の場合は
- 保険料の払い込み時点より、保険金受取時に円安に動く → 為替差益が発生
します。
為替手数料などを除いたイメージでいえば
1ドル:100円の時に、保険料1,000万円分を支払ったら、10万ドル分の保険料支払いになります。
返戻率100%として、保険金で同額の10万ドルを受け取る際に、1ドル:120円になっていたら、1,200万円分の保険金が受け取れる計算になります。
返礼率とは関係なく、為替差益が200万円分も出る計算になるのです。
- 円安が進むと、為替差益分さらにお得になる
というメリットがあります。
デメリット
1.為替差損が発生するリスクがある
外貨建て保険の場合は
- 保険料の払い込み時点より、保険金受取時に円高に動く → 為替差損が発生
します。
為替手数料などを除いたイメージでいえば
1ドル:100円の時に、保険料1,000万円分を支払ったら、10万ドル分の保険料支払いになります。
返戻率100%として、保険金で同額の10万ドルを受け取る際に、1ドル:80円になっていたら、800万円分の保険金が受け取れる計算になります。
返礼率とは関係なく、為替差損が200万円分も出る計算になるのです。
- 円高が進むと、為替差損分損をする
というリスクがあります。
2.為替手数料が発生する
外貨建て保険では
- 日本円で支払い → 日本円を外貨に両替 → 保険料の支払い
- 保険金・解約返戻金 → 外貨で受け取り → 日本円の両替 → 日本円で受け取り
という形で、2回「両替」が必要になります。
両替時に発生する手数料が「為替手数料」であり、保険会社によって、手数料は異なります。
為替手数料は、ばかにならないコストであり、日本円建ての保険の場合は不要なコストでもあります。
手数料負担が大きくなることが外貨建て保険のデメリットと言えます。
外貨建て保険がおすすめの方
1.リスクを取ってでも、高い返戻率を期待したい方
円建ての保険と比較すると、外貨建て保険の方が
- 返戻率が高くなる
- 為替差損のリスクが大きくなる
という特徴があります。
為替差損によって元本よりも、受け取り保険金が少なくなるリスクがある分、返戻率が高くなるのです。
リスクを取ってでも、返戻率の高さを重視する方に外貨建て保険はおすすめです。
2.円安を予想する方
円安になれば
- 為替差益でより返戻率が高くなる
- 為替差損のリスクがなくなる
ことを意味します。
「円安になる」ということを予想する人にとっては、外貨建て保険はメリットしかなくなるのです。
外貨建て保険がおすすめでない方
1.元本を減らしたくない方
保険で元本よりも、受け取れる保険金が少なくなる状況を回避したい方には、外貨建て保険はおすすめできません。
為替差損が発生するリスクがあり、大きく円高に振れた場合には、元本を大きく既存する可能性があるからです。
外貨建て保険がおすすめの活用法
1.一括支払いではなく、毎月の保険料支払いを選ぶ
外貨建て保険の保険料の払い込み方法には
- 一括支払い
- 毎月の支払い
があります。
一括で支払ってしまうと、為替の変動幅が大きくなり、為替差益も、為替差損も、どちらが発生しても、幅が大きくなってしまいます。
毎月の支払いにしておけば、為替変動の影響が、平準化されて小さくなるため、為替差益も、為替差損も、どちらが発生しても、幅が小さくなるのです。
為替リスクを抑えるためには、毎月の保険料支払いにした方が無難です。
まとめ
外貨建て保険は
- 保険料払い込み、保険金の受取を外貨で行う保険のこと
を言います。
今の日本の国債金利では、円建ての保険の返戻率はかなり低く、インフレ率よりも高い利回りは期待できません。円安になることを予想するのであれば、外貨建て保険も重要な選択肢となります。