「保険とは、一旦どんなものを指すのでしょうか?」
保険のことを知らない方は少ないかと思いますが、正確に「保険の定義」を理解している方は、多くないかと思います。今回は、保険とは、そもそもどんなものなのか?保険選びをする前に、大前提で知っておくべきことをわかりやすく解説します。
保険って何?
保険とは
日常生活で起こる様々なリスク(危険)に備える制度のこと
を言います。
長い人生の中では、普通に生活していても、様々なリスクと直面します。これは避けて通れないことです。
- 病気になる
- ケガをする
- マイホームが火事に遭う
- マイホームが地震に遭う
- マイホームが台風に遭う
- マイカーで事故を起こす
・・・
当然ながら、人生の中で上記のリスクに一切遭わずに過ごすことは、ほとんど不可能と言っていいでしょう。
人生に起こりうるリスクを回避するために
みんなでお金を出し合う
被害に遭った人が集まったお金を利用して、リスクによって被った損害に対処する
仕組みが「保険」であり
みんなでお金を出しあってリスクに備えることで、個人個人が背負うリスクの負担を軽減するための仕組みでもあるのです。
「万人は一人のために、一人は万人のために」という相互扶助のシステムのもとで人々のリスクを軽減するのが「保険」制度であり、保険の社会的な役割と言えます。
保険の特徴
さらに具体的に保険のことを説明すると
前述したリスクに遭うと、解決するためには、少なからず「お金」が必要になります。
- 病気になったら → 治療費・手術費用・入院費用
- ケガをしたら → 治療費・手術費用・入院費用
- マイホームが火事なったら →リフォーム費用・建て替え費用
- マイカーで事故を起こしたら → 修理費用・買い替え費用・事故相手への損害賠償請求などの支払費用
場合によっては、数百万円、数千万円の費用が必要になるため、個人の貯金で対応するのは、かなり難しいのです。
そのため、みんなが「保険料」の支払いという形で保険に加入することで、保険会社との契約内容で設定した損害が発生した場合に、その損害に対応できるだけの「保険金(保険料を集めたもの)」が受け取れる仕組みになっているのです。受け取った「保険金」を損害や賠償の費用として利用することで、リスクを軽減できることになります。
保険と貯蓄の違い
「保険」も「貯蓄」もリスクが発生したときに解決するためのお金を用意する方法であることは同じです。
「保険」と「貯蓄」を比較するときに、よく言われるワードに「貯蓄は三角、保険は四角」というものがあります。
貯蓄
貯蓄は、給料などの収入から、支出を除いた分を貯金することになるため、徐々に徐々に貯まっている性質のものです。
また、貯蓄は、リスクが発生して損害(経済的損失)を被った場合、貯蓄額の範囲内でしか対応できないものでもあります。
例えば、24歳で自動車で事故を起こしてしまい、相手へ支払う損害賠償100万円、車の買い替え費用が200万円必要だとしても、貯金が30万円しかなければ、損害賠償の費用も、買い替え費用も捻出できないことを意味します。
年齢が若ければ若いほど、貯蓄額が少ないのが一般的ですので、万が一のリスクには対応できないケースが多いのです。
上記を図解したのが「三角」と呼ばれる所以です。
保険
保険は、多数の人々が保険料を出しあって、被害があった時にその中から保険金を捻出して、相互扶助をする制度です。
つまり、保険料さえ支払っていれば、リスクが発生して損害(経済的損失)を被った場合、その損害分の保険金が受け取れる仕組みになっています。※細かい保険金額や支払い条件は、保険会社との契約で決められます。
例えば、24歳で自動車で事故を起こしてしまい、相手へ支払う損害賠償100万円、車の買い替え費用が200万円必要だとしても、自動車保険に入っていて、毎月数千円程度の保険料を支払っていれば、損害賠償金額と車の買い替え費用の300万円は、保険金で受け取れる仕組みとなっています。
加入した当初から、損害額分を全額カバーできるのが「保険」と言えます。
上記を図解したのが「四角」と呼ばれる所以です。
まとめると
「保険」も「貯蓄」もリスクが発生したときに解決するためのお金を用意する方法ですが、「貯蓄」は貯めるまでに時間がかかり、貯蓄額が少ない時期に大きな損害が発生した場合に、損害を解決するのに必要なお金が不足してしまうため、十分なリスク対応ができません。不足分は、借金などでカバーしなければならなくなってしまいます。
しかし、「保険」は加入時点で、損額をカバーできる「保険金」が受け取れるため、保険料の支払いが必要になりますが、十分なリスク対応ができることになります。
その他のサービスとの違い
「保険」と「共済」の違い
対象が違うが、制度の性質は同じものと言えます。
- 保険:不特定多数の人々が対象
- 共済:特定の地域や職業、公共団体の会員等で限定された人々が対象
保険の種類
公営保険と民営保険
保険には
- 公的機関が提供する「公的保険(公営保険)」
- 民間企業関が提供する「民間保険(民営保険)」
があります。
「公的保険(公営保険)」
「公的保険(公営保険)」は、社会保険制度、経済政策の一環として、公的機関が提供する保険です。
日本では、国民全員が公的保険に強制加入で、解約も、加入審査もありません。
社会保険
- 医療保険
- 健康保険
- 船員保険
- 日雇健康保険
- 自衛官診療証
- 共済組合(短期給付)
- 国民健康保険
- 後期高齢者医療制度
- 年金保険
- 国民年金
- 厚生年金
- 介護保険
- 雇用保険
- 労働者災害補償保険(労災保険)
産業保険
- 農業保険
- 漁業保険
- 漁船保険
- 輸出保険
「民間保険(民営保険)」
「民間保険(民営保険)」は、民間の企業(生命保険会社、損害保険会社)が販売している保険のことを言います。
民間保険は任意で加入する保険であり、多くの種類の保険を、多くの保険会社が販売しています。「公的保険(公営保険)」でカバーできない分のリスクに対応するための保険と言えます。ご自身にあった保険を自由に選ぶことができます。
一部、地震保険法に基づく「地震保険」、自動車損害賠償保障法に基づく「自賠責保険」など、法律を前提にした、社会政策のための民間保険も存在します。
保険の分類
保険は大きく分けて3つに分類されています。
- 第一分野
- 第二分野
- 第三分野
第一分野
人の生存または死亡に関し、一定額の保険金を支払うことを約し、保険料を納める保険
- 定期保険
- 終身保険
- 養老保険
- 個人年金保険
など
第二分野
一定の偶然な事故によって生ずることのある損害をてん補することを約し、保険料を納める保険
- 火災保険
- 自動車保険
- 賠償責任保険
- 海上保険
など
第三分野
身体の傷害、疾病および介護に関し一定額の保険金を支払うこと、または損害をてん補することを約し、保険料を納める保険
- 傷害保険
- 医療保険
- がん保険
- 介護保険
- 所得補償保険
など
まとめ
「保険」とは、人生の中で避けられないリスクを、多数の人々がお金を出し合うことによって、リスクを軽減する仕組みです。
貯蓄額が少ないと、自然災害や病気やケガ、訴訟などの損害に対応することができません。そうなってしまうと、借金をして解決しなければならなくなってしまいます。
そうならないためには「保険」を活用することが必要で、保険を活用することで、人生に起こりうるリスクを軽減することができるのです。