地方銀行が中小企業向け融資を拡大!中小のM&Aを後押しへ

地方銀行が中小企業向向けの融資を拡大する傾向が出始めています。2016年2月に日銀がはじめたマイナス金利政策により、利ざやの確保が難しい状況となる中、中小企業の事業継承問題などを受けて、地方銀行が中小企業へも融資を強化することで利ざやを確保することに加え、M&Aを後押しするとで事業が継続して行えるようにし地方経済の活性化を後押しします。

マイナス金利政策で地方銀行の経営も厳しく

地方銀行が中小企業向けに融資を拡大する背景としては、2016年2月に日銀が実施したマイナス金利政策による利ざや確保が難しくなっていることにあります。

2017年5月20日の記事で記載していますが、マイナス金利政策は銀行経営にも影響が出始めており、上場している地方銀行の2017年3月期の決算は純利益が前年同期比11%減少し、合計で1兆632億円となっています。

また、銀行が顧客から預かったお金をどれだけ貸出にまわしているかを示す「預貸率」が増加傾向にあり、2017年7月13日付けの日本経済新聞朝刊の記事では「集めた預金のうち融資に回した預貸率が70%台に低迷。メガバンクなど都銀は50%台まで急低下している。」としています。

地方銀行の貸出金は僅かながらに増加傾向に


銀行貸出増減率推移(全国銀行協会のデータを基に筆者作成)

地方銀行における預金の貸出率も僅かながらに増加しています。全国銀行協会によると、地方銀行64行の貸出金の増減率は、平成23年は2.7%でしたが、平成28年には3.9%に上昇しています。第二地方銀行は、平成23年度の1.8%から平成28年は3.3%まで上昇しています。

一方で、都市銀行の貸出金の増減率を見てみると、平成23年度は僅か0.3%から僅かに増加傾向にありましたが、平成28年には0.1%に減少しています。

事業継承や事業拡大で中小企業のM&Aの件数も増える

中小企業では経営者の高齢化により、経営を引き継ぐ人材の確保が困難な状況が増えており、「事業継承問題」が度々取り上げられています。また、地方の人口減少などにより、人手不足などから事業成長が限られる中、事業を拡大するためにM&A(吸収合併)を考える経営者が増えていることがM&Aの件数が増えている背景として考えられます。

2017年7月13日付けの日本経済新聞朝刊によると「M&A助言会社レコフの調べによると2016年の未上場企業(外国法人除く)による件数は85年の調査開始以降初めて1000件を突破。17年は上期でそれを上回るペースで増加中だ。」としています。

中小企業が地盤としている地元経済の担い手となる地方銀行ではあらなた貸付先として、中小企業への融資を拡大することで、利ざや確保に加え、地元の中小企業の事業成長を促し地域経済の活性化につなげる狙いがあるといえます。

M&Aは事業成長を迅速にできる反面リスクも大きく

M&Aを積極的に実施することで事業成長が加速できる反面、合併先の企業の業績が悪化するなどして借金だけが大きく膨れ上がるリスクもあります。人口減少で労働力が不足する中、中小企業同士がM&Aによって理想通りに地方活性化につながるのか注視しておく必要がありそうです。

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