奨学金債券(返還を要する人の数)は増えており、多くの若年層が奨学金の借り入れを行っています。ただ、結婚すると奨学金の借入金が増えることになることから、結婚後の奨学金返済について心配される方も多いのが現状です。今回は、結婚に向けて奨学金の返済プランはどの様にすればよいのかについて考えてみます。
奨学金延滞者の数は過去5年で減少傾向に
奨学金延滞者及び最件数推移(日本学生支援機構のデータを元に筆者作成)
奨学金の返済問題が度々取り上げられる中で、債権回収に深刻な状況であることも伺わせますが、日本学生支援機構が公開したデータを確認してみた所、過去5年間では3ヶ月以上延滞している人の数は減少傾向にあります。
平成27年度の3ヶ月以上の延滞者の数は16万5635人ですが、5年前の平成23年には19万7000人となっており、その後も上記グラフの通り、僅かながらに延滞者の数は減少傾向にあります。
一方で、奨学金債券の数は増加傾向で、平成23年は301万4,000人から平成27年には381万1494人となっています。
まずはキャッシュフローを確保することに注力する
総務省によると、2016年度の2人以上世帯の平均金融資産額は30歳未満で301万、30歳台で620万円となっています。大学4年間で奨学金を借り続けていた場合、結婚後に2人の借入金額を合わせると平均貯蓄額とほぼ同等もしくは債務超過になる可能性もあり、結婚後の生活資金に苦労することになりかねます。
そのため、月々の収入から支出を差し引いた「キャッシュフロー」を黒字を維持していきます。ご自身の月々の収入がいくらで、支出がどれだけあるのかを家計簿などを活用して把握し収支のコントロールを行います。
純資産比率を30%以上を目標に純資産を確保する
月々の収支をコントロールができるようになれば、ご自身が持っている総資産額から奨学金などの(負債)を差し引いた「純資産比率」を30%以上を目標にキャッシュを確保します。
例えば、全体の総資産額が500万で借入金が250万あった場合の純資産比率は50%になり、純資産額は250万円となります。
日本人は借金は早く返済すべきだと考える人が多いですが、奨学金は短期借入金ではないため、時間をかけて返済できます。そのため、キャッシュの確保ができてから一気に返済するのではなく、奨学金の返済を続けながらキャッシュフローを確保し、手元の資産額と借入額のバランスを保つことが重要です。
ローンを組むような多額の買い物は避けること
奨学金の返済がある間は、車などローンを使って購入する様な大きな買い物をすることを避けることをおすすめします。ローンを組むと負債額が増加することになり、手元の金融資産が少なければ債務超過になってしまいます。
結婚後、生活資金で苦労なく暮らしていくためにも、ご自身の収支をしっかりとコントロールすることから始めるのが重要です。