「生命保険の仕組みはどうなっていますか?」
生命保険について、なんとなく理解している方もいるかと思います。では、具体的な仕組みはどうなっているのでしょうか?今回は、生命保険の仕組みについて、どこよりもわかりやすく解説します。
生命保険の仕組み
保険加入者と保険会社との関係
生命保険は
- 保険契約者
- 被保険者
- 保険受取人
- 保険会社
の4者の関係で成り立っています。
保険契約者
保険会社と契約を締結する契約者のこと
契約者ですので、保険料を保険会社に支払うものも保険契約者となります。
被保険者
保険の補償を受ける人、保険の対象となる人のこと
生命保険であれば、この被保険者が死亡した場合に保険金が払われる、被保険者が病気になった時に保険金が払われることになります。
保険受取人
保険金を受け取る人のこと
保険契約どおりに保険金が支払われることになった場合に、保険金・給付金を受け取ることができる人のことを言います。
保険会社
保険を提供する会社のこと
保険会社は、預かった保険金を国債などで運用して、預かった保険金を増やす努力をします。
上記の図の通りで
保険を契約するときに
「保険契約者」は
- 「被保険者」「保険受取人」を誰にするのか?
を決めます。
その後、「保険契約者」が保険料を「保険会社」に支払うことになります。
「保険契約」の約款(契約条件)に伴い、保険金の支払い条件が発生した場合に、「保険会社」は「保険受取人」に、保険金を支払うことになります。
「保険会社」は、保険料として預かった資金を少しでも増やすために「債権」などで運用します。
「保険契約者」「被保険者」「保険受取人」は同じでも良いの?
同になることが多いです。
パターンとしては、以下のようなものがあります。
1.生命保険の死亡保障「保険契約者=被保険者」
- 保険契約者:夫
- 被保険者:夫
- 保険受取人:妻
夫が保険料を支払い、夫が死亡した場合に、保険金が妻に支払われる
2.生命保険の死亡保障「保険契約者=受取人
- 保険契約者:夫
- 被保険者:妻
- 保険受取人:夫
夫が保険料を支払い、妻が死亡した場合に、保険金が夫に支払われる
3.生命保険の死亡保障「保険契約者≠被保険者・受取人」
- 保険契約者:夫
- 被保険者:妻
- 保険受取人:子
夫が保険料を支払い、妻が死亡した場合に、保険金が子に支払われる
お金の流れ
「保険契約者」から「保険会社」に支払われるものには
- 保険料
があります。
「保険会社」から「保険受取人」に支払われるものには
- 保険金
- 給付金
- 年金
- 配当金
- 解約返戻金
があります。
保険料
保険契約に伴い「保険契約者」が「保険会社」に支払う費用のこと
保険料を支払うことで保険契約が有効になるため、保険料の支払を辞めてしまうと、保険契約が無効になってしまいます。
保険料の決まり方
保険料は、保険会社が自由に決めているわけではありません。
- 予定死亡率
- 予定利率
- 予定事業費率
という3つの予定率に基づいて決められています。
予定死亡率
保険会社は、過去の統計をもとに、性別・年齢・その他の条件の死亡者数を予測しています。「一定条件の元では○%の方が亡くなる」という「予定死亡率」を算出し、必要な保険料を決めることになります。
予定利率
保険会社は、預かった保険料をいろいろな形で資産運用します。運用収益をあらかじめ予想して、保険料から割り引くのです。そのための指標が「予定利率」です。
予定事業費率
保険会社は、会社の運営に必要な経費をあらかじめ見込んでおいて、その分のコストを保険料に組み込みます。あらかじめ見込んでおく事業運営のためのコストのことを「予定事業費率」と言います。
だからこそ
- 死亡率が高くなる年齢が上がっていけば → 保険料が上がる
- 運用が上手な保険会社の保険商品であれば → 保険料が下がる
- 事業費が安いネット専門保険会社の保険商品であれば → 保険料が下がる
というような傾向が出てくるのです。
保険金
「被保険者」の死亡、高度障害状態、満期などの約款で設定されたタイミングで保険会社から「保険受取人」に支払われるお金のこと
を言います。
- 死亡保険金:「被保険者」が死亡した場合に支払われる保険金のこと
- 満期保険金:「被保険者」が保険期間満了時に生存している場合に支払われる保険金のこと
給付金
保険契約が継続しているときに、保険会社から受け取ることができるお金のこと
を言います。
おもに医療保険やがん保険などで入院したり、手術を受けたり、通院したりするときなどに受け取るお金です。
保険金の場合は、死亡時や満期時に受け取ることによって契約が消滅するものですので、契約中に発生するものか?契約終了時に発生するものか?の違いで「給付金」と「保険金」が分類されます。
年金
個人年金保険に加入していた場合、保険会社から受け取ることができるお金のこと
- 保証期間付終身年金:保証期間中は生死に関係なく年金が受取れ、その後は被保険者が生存している限り終身にわたって受取れる年金
- 確定年金:年金支払い開始後、10年、15年などあらかじめ定めた期間、生死に関係なく受取れる年金
配当金
予定と実際の差によって剰余金が生じた場合に、剰余金の還元として契約者に分配されるお金のこと
生命保険商品は、配当の分配がある仕組みの「有配当保険」と、配当のない仕組みの「無配当保険」があります。
有配当保険:配当の分配がある保険
3利源配当タイプ
毎年の決算において、3つの予定率と実際の率との差によって生じる損益を集計し、剰余が生じた場合、配当金として分配する仕組みの保険
「毎年配当型」「3年ごと配当型」もある
利差配当タイプ
予定利率と実際の運用成果との差によって生じる損益を、一定年数ごとに通算し、剰余が生じた場合、配当金として分配する仕組みの保険
「5年ごと利差配当型」「3年ごと利差配当型」「毎年利差配当型」もある
無配当保険:配当の分配がない保険
解約返戻金
満期に保険金が受け取れる保険契約を解約した場合に、「保険会社」から「保険契約者」に支払われるお金のこと
解約返戻金は、契約している保険の種類、払い込んだ期間、払い込んだ保険料などによって大きく金額が変わります。短期間の間に解約すると、解約返戻金はかなり少額になります。
まとめ
保険契約を理解するためには
保険契約に登場するプレイヤーである
- 保険契約者
- 被保険者
- 保険受取人
- 保険会社
お金のやり取りである
- 保険料
- 保険金
- 給付金
- 年金
- 配当金
- 解約返戻金
という言葉の意味を、正確に理解して、関係性を把握しておく必要があります。
生命保険に限らず、保険に正しく加入するためには、契約書・約款をしっかり読み込む必要がありますが、そのためには、最低限上記の言葉の意味、関係性を理解しておく必要があるのです。