資金を金融機関から借りる場合、住宅ローンのように担保が必要になる融資サービス、クレジットカードやカードローンのように無担保で融資が受けられる融資サービスがあります。担保を提供する場合、ある程度資産価値があるものが求められます。今回は、株式など有価証券をお持ちの方に、証券担保ローンの概要を紹介します。
担保とは何か?
はじめに、融資を受ける場合に良く耳にする「担保」について簡単に解説します。
担保は、融資を提供する場合において、債務者が返済不能になった場合に備えて、予め資産的な価値がある物などを抑えておくことで、万が一の場合に、これらを回収して市場で売却することで、未返済額を回収できるようにするものです。
担保として利用できるものは、一般的によく利用されている住宅ローンであれば、購入した対象の土地や建物となります。それ以外にも、預金や有価証券、不動産といった、市場で売却してある程度の資金となるものが設定できます。
債権者は、万が一返済が滞った場合、担保を設定しておけば、債務者のところに出向いて返済するように交渉する手間を省けますし、貸したお金が返ってこないというリスクを軽減することができます。
株式などの有価証券を担保にできる証券担保ローン
証券担保ローンは、株式や債券といった有価証券を担保に資金を提供するローンサービスです。
有価証券を担保にしたローンサービスは、一般的にあまり馴染みがあるローンサービスでは無いですが、株式や債券を持っている方であれば、株主としてもしくは債権者としての権利を維持しながら、資金調達ができます。
そのため、資金が必要になったという理由で有価証券を売却せずに済むことができます。
証券担保ローンで調達した資金の使い道は自由となっており、住宅の購入用途や事業用途でも活用できます。
証券担保ローンは証券会社各社が提供している
証券担保ローンは、銀行では取り扱っておらず、有価証券の売買を仲介している証券会社で提供しています。
証券担保ローンは、日本証券金融株式会社が有名ですが、個人向けはSBI証券とSMBC日興証券を通じてサービスを提供しています。野村證券では独自でサービスを提供しています。
証券担保ローンの金利は2%から4%前後に設定されている
証券担保ローンの金利は証券会社や市場金利の動向にもよりますが、2020年8月時点では2%から4%の間で提供されています。
一般消費者向けのクレジットカードのキャッシングサービスや各種カードローンに比べると金利はやや低めでありますが、近年の市況を考慮するとやや金利は高めであると言えます。
ただし、株式や債券では配当金もしくは利息が受け取れますので、それを相殺することも可能ですが、2020年8月時点における日本の株式配当利回り2%前後を考慮すると、配当金で利息を補うことは少々難しいと言えます。