クレジットカードを使って購入した場合、個人信用と引き換えにクレジットカード会社が購入資金を立て替えることで、手持ち資金がなくても物品を手にすることが可能になります。ただ、クレジットカードで購入すると購入資金を返済していない状態の場合において、所有権が誰にあるのか気になります。
今回は、クレジットカードを利用した場合の所有権について解説します。
クレジットカードやローンの返済前は貸した側に所有権がある
クレジットカードは、ご自身の信用力を引き換えにクレジットカード会社が購入資金を立て替えてくれる金融サービスです。また、電化製品といった高額な買い物をする場合、多くの現金を持ち歩くことなく、クレジットカード1枚で買い物が可能になるほか、万が一の場合に備えて保証が付帯していることもあるなど、安全性についても優れています。
ただし、クレジットカードを利用して物品を購入後は、購入代金についてクレジットカード会社が指定する日に銀行口座から自動引落を行なうことで返済できますが、返済が完了していない間は、対象の物品についての所有権はクレジットカード会社にあります。ご自身に所有権が移転するのは、物品購入代金を返済し終わった後になります。
また、ローンサービスでは、自動車を購入する場合、自動車販売店が独自で提供しているローンサービス「ディーラーローン」を利用した場合についても、完済するまでは所有権は自動車販売店側にあります。
一方で、金融機関が提供している自動車ローンについては、自動車に関する幅広い用途を目的に資金のみを提供するものになりますので、金融機関側に所有権はありません。
融資は所有権的構成と担保的構成の2つで構成される
クレジットカードを含め、各種ローンを利用するなど融資して物品やサービスを購入する場合における所有権の取り扱いとしては、「所有権的構成」と「担保的構成」の2つで構成されています。
所有権的構成
所有権的構成は、売買契約を行った時点で、お店側から債権者に所有権が一旦移り(所有権の保留)、返済が完了後、債務者に所有権が移ります。クレジットカードで物品を購入した場合は所有権的構成に該当することになります。
担保的構成
担保的構成とは、売買契約を行った後の所有権は債務者になりますが、所有権を付与する代わりに、万が一に備えて換金可能な資産を担保として提供する必要があります。代表的なのは住宅ローンが該当します。
未返済の状態であれば対象の物品は勝手に処分できない
クレジットカードやローンを使って物品を購入した場合は、一旦クレジットカード会社や信販会社、販売店に所有権が移りますので、返済が終わっていない場合、対象の物品を勝手に処分することは原則としてできません。
ただし、返済ができなかった場合においても対象の商品を回収することはなく、現金での返済を求めます。
クレジットカード料金の滞納については、まずは、電話やはがきで督促を行います。その後も返済の確認ができなければクレジットカードが強制的に解約となり、残金を一括返済となります。
それができない場合は、裁判所が介入して銀行口座の他、給与の差し押さえ、自動車や家財など換金が可能になるものが差し押さえとなります。ローンについても原則として同様の流れになります。
その時点で、クレジットカードやローンで購入した対象の物品が新品のままで換金が可能と判断されれば差し押さえが行われ、回収されることも考えられます。