「生命保険の低解約返戻金型終身保険とは、どんな保険ですか?」
「低解約返戻金型終身保険のメリットデメリットを教えてください。」
「低解約返戻金型終身保険はどう使うべき保険ですか?」
生命保険の低解約返戻金型終身保険とは一体どんな保険でしょうか?低解約返戻金型終身保険に入る必要がある人とは、どのような人でしょうか?今回は、低解約返戻金型終身保険の仕組み・メリットデメリット・おすすめの方・活用法について丁寧に説明します。
低解約返戻金型終身保険とは
終身保険とは
保険期間が一生涯で、貯蓄性のある死亡保険のこと
を言います。
死亡保険なので、主契約では
- 被保険者が死亡した場合
- 被保険者が所定の高度障害状態になった場合
に保険金が支払われます。
大きな特徴は
- 保険料が保険開始から払込満了までずっと一定
- 払込期間が満了しても、保障が一生涯続く
- 解約すると解約返戻金が受け取れる
という点です。
低解約返戻金型終身保険とは
終身保険の中で、一定期間解約時に受け取れる返戻金を低額に抑えることで返戻率を高く設定する終身保険のこと
を言います。
一般的に
- 返戻金を低く設定する期間は、保険料を払っている期間と同じ
- 返戻金は低解約返戻金型ではない終身保険の70%程度
- 保険料が通常の終身保険よりも割安
- 返戻率が通常の終身保険よりも高い
保険となっています。
通常の終身保険と低解約返戻金型終身保険の比較
比較項目 | 終身保険 | 低解約返戻金型終身保険 |
---|---|---|
解約返戻金 | 普通 | 終身保険の70%程度 |
払込期間終了後の返戻率 | 低い | 高い |
保険料 | 高い | 安い |
低解約返戻金型終身保険のメリットデメリット
メリット
1.一生涯保障が続く
低解約返戻金型終身保険も、終身保険ですので最大のメリットは
一生涯保障が続く
という点です。
どの時点でなくなっても、保険金が支払われるため、必ず残された家族にお金が支払われるのです。
葬儀費用や残された家族の生活費などを必ず渡せるため、安心して老後を過ごせる過ごせメリットがあります。
2.通常の終身保険よりは保険料が安い
一般的に、終身保険は貯蓄性の高い生命保険なので、掛け捨て型の生命保険と比較すると、保険料が高く設定されます。
しかし、低解約返戻金型終身保険の場合は
- 通常の終身保険と比較すると保険料が安い
特徴があります。
保険料を抑えながら、貯蓄性のある終身保険に加入できるメリットがあります。
3.解約返戻金がある
低解約返戻金型終身保険は
- 解約すると解約返戻金がもらえる
特徴があります。
万が一、老後資金が不足した場合は、低解約返戻金型終身保険を解約して、今まで払っていた保険料プラスαを回収するという使い方が可能になります。
貯蓄性がある死亡保険というメリットがあるのです。
4.解約返戻金が低いため、解約しにくい
通常の終身保険と比較すると、保険料払込期間までの解約返戻金が低く設定されているため、「解約しよう」という考えが起きにくい保険といえます。
解約しなければ、確実に貯蓄できる選択肢といえます。
5.保険料が一定
低解約返戻金型終身保険は、払込期間満了まで
支払う保険料は同じ
です。
定期保険の場合、更新をすると、その時点の年齢で保険料が上がってしまいますが、低解約返戻金型終身保険は一生涯の保障をはじめから設定しているため、払込期間の満了まで、保険料はずっと変わらないのです。
6.相続財産として相続税の非課税枠がある
被保険者が亡くなると、相続人が保険金を受け取ることになります。
低解約返戻金型終身保険は、必ず保険金が支払われるものです。
相続人は、相続した財産に対して、相続税を支払わなければならないのですが、死亡保険金は非課税枠を利用できます。
「500万円×法定相続人の数」までの金額が非課税になります。
相続税の税金対策としても、低解約返戻金型終身保険は利用できるのです。
デメリット
1.解約返戻金が低い
低解約返戻金型終身保険は、払込期間の満了まで、解約返戻金が通常の終身保険と比較すると低く設定されます。
一般的に
- 終身保険:100%
- 低解約返戻金型終身保険:70%
という違いがあります。
いざというときに生命保険を解約せざるを得ないケースも考えられます。その場合、通常の終身保険よりも受け取れる解約返戻金が少ないのはデメリットとなります。
2.早期の解約は、元本割れする可能性が高い
低解約返戻金型終身保険の解約返戻金は
- 払込期間満了前 解約返戻金 < 払込保険料総額 → 元本割れ
- 払込期間満了後 解約返戻金 > 払込保険料総額 → 利益が出る
というケースがほとんどです。
つまり、
払込期間満了前に解約すると、解約返戻金はもらえても、払込保険料総額の50%とか、70%などかなり減ってしまうのです。
これは、元本割れですので、大きな損失と言えます。
3.見直しがしにくい
低解約返戻金型終身保険は
- 一生涯保障が続く保険
- 保険料が一定
- 払込期間満了前に解約すると元本割れの可能性高い
- 通常の終身保険よりも解約返戻金が安い
という保険ですので、払込期間満了前に解約する(見直しをする)と
- 保険料が上がる
- 解約返戻金が低く元本割れ
で、損しかしないのです。
つまり、一回入ったら、見直しにくいのが低解約返戻金型終身保険です。
これは解約返戻金が高い終身保険よりも、より低解約返戻金型終身保険の方が見直しにくいと言えます。
低解約返戻金型終身保険がおすすめの方
1.必ずご家族に必要な生活費や葬儀費用を残したい方
低解約返戻金型終身保険は、一生涯保障が続くので、いつかは必ず保険金がご家族に支払われる保険となっています。
ご家族に
- 葬儀費用
- 必要な生活費
を「絶対に」用意してあげたい。
と考える方におすすめの死亡保険と言えます。
また、必ずご家族に支払われるという安心感を得られるメリットがあります。
2.老後資金を準備できる
低解約返戻金型終身保険は、解約返戻金が出る保険です。
払込期間満了後の返戻率が高い低解約返戻金型終身保険を選べば、返戻率は100%を超えてきます。
定年を払込期間満了に設定しておけば、退職金などで足りない分は、低解約返戻金型終身保険を解約すれば、解約返戻金が手に入るのです。
当然、退職金や他の収入で老後資金が十分に準備できた場合には、低解約返戻金型終身保険を解約せず、いつでも解約できる状態で保障を継続するという選択肢も取れるのです。
3.終身保険は高くて保険料の負担が大きいと考える方
終身保険は、貯蓄性がある分保険料の高い生命保険です。
終身保険に入りたいけれども
- 保険料が高い
- 保険料が高い分、保険金額を大きくできない
という悩みがある方にとっては
低解約返戻金型終身保険の方が
- 保険料が安い
- 保険料が安い分、保険金額を大きくできる
というメリットがあります。
低解約返戻金型終身保険がおすすめでない方
1.大きな保障が必要な方
低解約返戻金型終身保険は、通常の終身保険よりは保険料が安くなるとはいえ、掛け捨て型の生命保険と比較すると
- 保険料は高い
- 保障額が少ない
特徴があります。
3,000万円、5,000万円という保険金額を設定すると、かなりの保険料を支払わなければならなくなってしまうのは、同じなのです。
大きな保険金額を設定したい方は、大きな保険金額が設定しやすい定期保険や収入保障保険がおすすめです。
低解約返戻金型終身保険のおすすめの活用法
1.2階建ての保険設計に活用する
低解約返戻金型終身保険とは
保障が一生涯続く、貯蓄性のある死亡保険
- 保険料:高い
- 保険金額:低い
です。
定期保険とは
保険期間が一定で、貯蓄性のない掛け捨て型の死亡保険
- 保険料:安い
- 保険金額:高い
です。
どちらにもメリットデメリットがあるのです。
必ず支払われて、老後資金を貯めるためにも使える低解約返戻金型終身保険も、捨てがたい反面、低解約返戻金型終身保険だけだと「保険金額が足らない」ということになりがちなのです。
どちらもいいとこどりするためには
- 定期保険 + 低解約返戻金型終身保険
- 収入保障保険 + 低解約返戻金型終身保険
という形で、2階建ての保険設計にすることがおすすめです。
とくに子供が独立するまでの期間は、必要保障額が高額になるため、その間は、定期保険や収入保障保険を利用し、子供が独立した後は、低解約返戻金型終身保険だけにする運用がおすすめです。
2.学資保険代わりになる
学資保険も、低解約返戻金型終身保険も、貯蓄性のある保険には変わりがありません。
保険料払込期間を18年後(子供の大学入学)に合わせることで、学資保険と同じように、子供が18歳になるタイミングでまとまった解約返戻金が受け取れます。
学資保険との違いは
- 学資保険は、保険料の支払い相当額が保険金額になるため、加入してから徐々に、死亡保険金が積みあがっていく仕組みです。
- 一方、低解約返戻金型終身保険は、加入したらすぐに死亡保険金が満額支払われるメリットがあります。
学資保険代わりに利用することも一つの方法といえます。
まとめ
低解約返戻金型終身保険は
- 保障が一生涯続く
- 老後資金が貯められる
- 通常の終身保険よりも保険料が安い
というメリットがある反面
- 保険料が高い
- 保険金額が低い
- 通常の終身保険よりも解約返戻金が低い
というデメリットがあり、メリットデメリットがはっきりした死亡保険です。
低解約返戻金型終身保険は「保障が一生涯続く = 家族に必ず支払われる」という大きなメリットがある終身保険を、より解約返戻金を低く設定することで、保険料負担を軽減し、入りやすくした終身保険です。保険料の安い貯蓄性のある生命保険としておすすめです。