大手電気機器メーカーである「東芝」の債務超過が叫ばれています。債務超過になると企業は存続の危機となり、事業活動が継続して行うことが難しくなってしまうなど、大変厳しい状況です。
今回は、具体的に「債務超過」とはどういうことなのか解説します。
企業は利益を出して自己資本を増強する
企業が事業活動を継続して行うためには、事業活動を通じて得られた売上高から、人件費などの経費や税金などを差し引いて、最終的に手元に残る「純利益」を毎年稼ぐことで、純資産である自己資本を増強していきます。そのため、自己資本を増強していくためにも、企業が事業活動を行うことで、しっかりと利益を出していく必要があるのです。
一方で、売上高があっても、経費や人件費が多く発生していたり、自社設備の損害など突発的な出来事があり、多額な出費が発生したことなどで利益が確保できず赤字になってしまうと、自己資本は減少してしまします。毎年、赤字が続いてしまうと自己資本が減少してしまうことで、手持ちのお金がどんどん減少していくことにつながります。
大手電気メーカーであるシャープは、液晶パネルの価格変動や太陽光パネルの過剰投資などが原因で赤字が続いてしまい単独では経営再建が困難な状況となり、台湾の鴻海により経営再建を進めています。
企業は金融機関から融資を受け返済しながら事業活動を行う
企業は設立時に、初期段階で事業活動に必要な資金を「資本金」として資金を注入しますが、企業が事業活動を通じて成長していくためにも、設備投資が必要になります。そのため、銀行などの金融機関から融資を受けて、事業活動を継続していくことが一般的です。
企業は、何かしら金融機関などから資金の融資を受けていますが、融資を受けており、借金があるから危ないかというとそうではありません。自己資本と金融機関から借り入れている負債は、「賃借対照表」にてバランスが保たれていることが重要なのです。
賃借対照表のバランスが崩れると債務超過に
企業は、事業活動を行いながら金融機関にお金を返していく必要がありますが、利益が得られず赤字が続いてしまった場合、純資産である「自己資本」と金融機関から借り入れた資金「負債」とのバランスが崩れてしまい自己資本が減少し、負債額が膨らんでしまうことにつながります。
わかりやすく言うと、手元に持っている資金に対して、借金の金額が大きく膨らみ、企業が保有している資産を全部売却しても借金が残ってしまう状態で、この状態を「債務超過」といいます。
企業が債務超過になってしまうと、金融機関からの追加で融資を受けることは厳しくなる他、手元の資金が無くなり借金だけが残ることになりますので継続的な事業活動が困難になり、最悪の場合「倒産」という危機につながってしまうわけです。