2016年10月24日付の記事で消費者金融でお金を借りた場合、条件に当てはまる場合において払いすぎた利息が返還される「過払い金請求」ができる旨をお伝えしましたが、実際に、消費者金融に過払い金請求すると、平均して半年程度の期間を要しますが、金融機関の財務状況によって、手元に戻ってくる期間まで時間がかかることもあります。
貸金業法の改正で、お金を借りた消費者としては利息の回収が出来て恩恵を受ける一方、大手消費者金融は、消費者に利息を返還する必要があるなど、収益が低下し経営状況が厳しくなってきているのが現状です。今回は、大手消費者金融「レイク」の財務状況を見ていきます。
消費者金融「レイク」と「新生銀行」の関係
「新生銀行」は、旧日本長期信用銀行がルーツで、同銀行が1998年10月に破綻し、一時国営化された後、2000年に中央三井信託銀行などとの競争入札の結果、アメリカの再生ファンドである「ファンドリップルウッド」へ株式が売却されました。その後、2000年6月より「新生銀行」という名称で銀行業務を行っています。
新生銀行では、早期よりインターネットバンクを展開しコストを削減し振込手数料などの無料化を実現した他、営業時間の延長や土日祝日での一部窓口の稼働、通帳を発行せずステートメントによる通知方式に切り替えるなど、日本式の銀行経営にとらわれず、外資系銀行の側面を持ち合わせたサービスに切り替えるなど、他行との差別化を図っています。
一方、消費者金融であった「レイク」を展開していた、GEコンシューマー・ファイナンス株式会社が貸金業法の改正に伴う金利引下げなどによって過払金請求が増えるなど経営が悪化したことから、同事業から撤退し株式を新生銀行に売却しました。2011年10月より新生銀行は、カードローンブランドとして「レイク」を展開していきます。
経常収益は安定的だが、2017年度は減収減益を予想
新生銀行の財務状況を日経会社情報で調べた所、企業で言う売上に該当する「経常収益」は過去3年間横ばいの状況が続いており、2014年3月期の連結決算では約3752億円から2016年3月期の連結決算では約3757億円を計上しています。経常利益については、2014年3月期は約441億円に対し、2016年3月期は620億円を計上しました。
2017年度3月期の連結決算の予想は、経常収益は3500億円、経常利益は540億円と減収減益を予想しています。同社によれば、マイナス金利による金利収入の低下や前年中間期に予想していた大口の法人業務における戻り益が得られなかったこと、コンシューマーファイナンス事業(消費者金融)で貸出金が増加している状況から、貸倒引当金を計上したことを理由として上げています。
同銀行が保有している全体の資産価値から、事業による借入金などを差し引き手元に残る資産の比率を示す「自己資本比率」については、8.75%となっており、銀行の健全とされる4%を上回っており資産状況は問題ないと言えます。
財務状況は中短期的には問題ないが長期では注意が必要
新生銀行の財務状況に関しては、2016年までは安定的な水準で収益を確保しており、中短期的には大きな問題は無いといえます。しかしながら、2017年3月期連結決算で減益を予想していることから、長期で考慮した場合、減収減益が続くと財務状況が悪化する可能性もあると言えます。
格付け情報は、スタンダード&プアーズでは長期ではBBB+(安定的)、日本格付研究所でも同様のBBB+(安定的)となっています。