生命保険はいらない?いらない理由といる理由を比較して考察

生命保険はいらないっていう人がいると思いますが、本当ですか?」

生命保険は入るべきでしょうか?「生命保険はいらない」と考える方も少なくありません。しかし、本当に生命保険はいらないのでしょうか?生命保険のいらない理由といる理由を比較して考察します。

生命保険はいらないという声

ひろゆき氏は、ダイヤモンド社の記事「ひろゆきが考える「頭が悪い人のお金の使い道・ベスト3」」でいかのように答えています。

頭の悪いお金の使い道の第1位は、「保険」です。

生命保険や医療保険は、最もムダなものです。なぜなら、日本は健康保険が充実しているからです。どんなに大きな病気になったとしても、個人が支払う金額は高額療養費制度によって数万円に収まります。

それなのに、保険会社はCMをたくさん打ちまくって不安を煽ります。「いざというときの備え」と言って、あたかも保険が必要だと思わせるように考えを植え付けます。

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出典:ダイヤモンド・オンライン(DOL)

しかし、この見解は正しいのでしょうか?生命保険のいらない理由といる理由を比較して考察します。

「生命保険をいらない」と考える方のいらない理由

1.日本には、国民皆保険制度があるから

日本では「国民皆保険制度」を採用しています。

「国民皆保険制度」とは

病気のときや事故にあったときの高額な医療費の負担を軽減してくれる医療保険制度のこと

を言います。

日本ではすべての国民が公的医療保険に加入することになっており、国民皆保険制度(と呼ばれています。 日本では、国民は保険料を、国民健康保険税として、税金として徴収される仕組みになっています。その代わり、国民全員が健康保険に加入できるのです。

医療費の自己負担割合は

  • 75歳以上の者は、1割(現役並み所得者は3割)
  • 70歳から74歳までの者は、2割※(現役並み所得者は3割)
  • 70歳未満の者は3割。6歳(義務教育就学前)未満の者は2割

となっており

最大でも3割の負担で、医療サービスを受けることができるのです。

さらに高額療養費制度があります。

高額療養費制度とは

家計に対する医療費の自己負担が大きくならないよう、医療機関の窓口において医療費の自己負担を支払っていただいた後、月ごとの自己負担限度額を超える部分について、保険で支払われる仕組みのこと

を言います。

月単位の上限額は、年収や年齢によって異なりますが

年収約370万円以下の方で、70歳未満の方の場合、月単位の上限額は57,600円となります。

「国民皆保険制度」は、外国と比較すれば、かなり手厚いものであり、自己負担額が大きくならない分、あえて保険に入る必要がないという理由があります。

2.遺族年金があるから

遺族年金とは

家計の稼ぎ手の人(国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方)が何らかの理由で亡くなった場合に、遺族に対して支給される公的年金のこと

を言います。

世帯の中で、稼いでいる方が急になくなってしまった場合に、残された遺族の生活が苦しくなってしまうケースは少なくありません。このような状況を公的に遺族をサポートするための公的年金が「遺族年金」ということになります。

加入している健康保険・年金によって、受給額の差は出てきますが、日本人は、強制加入ですので、しっかり支払をしているのであれば、条件に合致している場合、年金が残された遺族に支払われる仕組みになっています。

この遺族年金で、残された遺族の生活費が賄えるので、あえて保険で準備をする必要がないという考え方です。

3.利用する機会がない

生命保険は、定期保険などの満期のある保険の場合、「利用する機会がない」と考える方も少なくありません。

終身保険であれば、人はいずれ死んでしまうので、使わないということは考えられませんが、定期保険であれば、満期が60歳まで、のように決まってしまい、かつ掛け捨て型のため、満期まで生存している場合には、保険に入って保険料を支払ったのに、保険は使わずに、保険金も受け取れないということになってしまいます。

これを「損」と考えると、生命保険に入る必要はないとなってしまうのです。

4.貯蓄性のある保険の返戻率が低い

銀行の金利も、0.001%という時代ですから、貯蓄性のある生命保険の返戻率もかなり低く抑えられているのが現状です。

あえて生命保険で貯蓄をしなくても、自分で投資、資産運用した方が資金を増やせると考える方もいるのです。

また、返戻率が低いと、長期間のインフレが進んだ時に、金銭の価値が下がっている状態なので、実質的に資産が減っていることになってしまいます。

この考え方の場合、貯蓄性のある生命保険は、いらないとなってしまいます。

5.貯蓄があれば大丈夫だから

生命保険というものは、死亡時に保険金や給付金をもらうことで、残された遺族の生活費を準備するためのものです。

一定額以上の貯蓄がある方の場合、死亡時に、遺族には遺産が相続され、それだけで遺族が問題なく、暮らしていくのであれば、あえて保険で準備をする必要がないという考え方です。

「生命保険をいる」と考える方のいる理由

1.国民皆保険では、保障が足らず、家計に大きな負担がある

国民皆保険制度があれば、医療費の負担は、最大でも3割で済みます。また、高額療養費制度によって、月額の上限の負担が決まっているため、大きな負担にはならないのは事実です。

しかし、

  • 3割の負担
  • 月額数万円~数十万円の上限の負担

であっても、家計に与える負担は大きいというのも、一つの事実です。

また、健康保険では、先進医療にかかる技術料などは適用外の全額自己負担です。

健康保険を利用しても発生する、医療費の負担をカバーするために、生命保険が必要という考え方もあります。

2.遺族年金では足らない

遺族年金は

  • 子供がいる世帯でも、年間約100万円程度の年金額

です。

シンプルに、残された遺族が生活していく費用として、子供もいるのであれば、この金額では、全く足らないのも現実と言えます。すぐに残された配偶者が働ける環境であれば、その収入でカバーできる可能性もありますが、そうでない場合や子供が多い場合は、学費も踏まえると、全く遺族年金では足らないのです。

遺族年金では足らない分を生命保険でカバーするという考え方もあるのです。

3.貯蓄がそんなにない

十分な貯蓄があれば、残された遺族に相続という形で、資産を残されるので、生命保険はいらないというのは、合理的な考え方です。

しかし、必要保障額は、数千万円、1億円以上の金額になるケースもあり、それだけの金額を相続されられる財産がある方というのは、日本人全体の0.1%にも満たないのです。

十分な貯蓄がなければ、保険で必要保障額を準備しなければならないのです。

4.長期間、就業不能状態になった時の生活費が必要になる

健康保険は、病気やケガによる入院や治療費にかかった費用の負担をおさえるための保険です。

しかし、病気やケガにより働けなくなったことになる「収入減少」や、治療費以外にかかる「生活費」の保障はありません。

これらの費用を準備できるのは、就業不能保険や収入保障保険などの生命保険です。

健康保険では、カバーできないリスクをカバーするのが、生命保険の役割と考えることもできるのです。

5.税金面での控除がある

生命保険では

  • 保険料の一部は所得税と住民税の控除対象

です。

さらに

  • 相続税の生命保険金の非課税制度

があるため、

相続税の生命保険金の非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

相続税対策にもなります。

節税方法の一つとして、生命保険を検討される方も少なくありません。

6.自分で貯蓄や資産運用ができない

  • 自分で計画的に貯金ができる
  • 自分で資産運用をして、資産を増やせる

のであれば、貯蓄性のある生命保険に入る理由は、少なくなります。

しかし、

自分で計画的に貯金ができない

  • あれば使ってしまう
  • 数字を見るのが苦手

自分で資産運用をすることができない

  • 資産運用の時間がない
  • 資産運用の知識がない
  • 資産運用は、失敗した経験がある

という方の場合は

確実に銀行口座から保険料が引き落とされて、代わりに貯金してくれている形になる貯蓄性のある生命保険は、老後資金を貯める一つの解決策になります。

生命保険はいらない?いらない理由といる理由を比較して考察

前述したように

生命保険をいらないと考える理由も
生命保険をいると考える理由も

どちらも正しいのですが、その人の状況によって、どちらが正しいのかは変わってきます。

ひらゆき氏のように

  • 十分な貯蓄がある
  • 十分な収入がある(健康保険の自己負担分は、大きな負担ではない)
  • 保険のない海外に住んでいる
  • 自分で資産運用ができる

方に取ってみれば

生命保険はいらない

と考えるのは、無理のないことと言えます。

しかしながら、一方で

  • 十分な貯蓄がない
  • 十分な収入がない(健康保険の自己負担分でも、家計にとって大きな負担)
  • 遺族年金だけでは、必要保障額をカバーできない
  • 自分で資産運用ができない
  • 節税をしたい

方に取ってみれば

生命保険は必要性があり、検討すべき

というのが、現実と考えられます。

収入・貯蓄・家族構成によって、生命保険が必要か、必要でないかは、変わってくるものであり、残念ながら、収入が上がらず不景気が続く日本の現状では、多くの日本人が生命保険が必要となってしまう状況にあると言えます。

ご自身の状況に照らし合わせて、自分にとって生命保険がいるのかどうか?慎重に検討してみることをおすすめします。