マイナス金利政策や節税目的でマンションやアパート経営に乗り出す方が増えています。2017年2月12日の記事で記載しましたが、不動産投資の増加に伴い、不動産投資向けの融資が増加傾向にあります。ただ、日本全体では人口が減少傾向にあることに加え、空き家が増加するなど供給過剰が懸念される中、不動産管理会社とサブリース契約でトラブルが続出し、ローンの返済が困難になる事例が増えています。
サブリース契約とは?
サブリース契約とは、建設したマンションやアパートを不動産管理会社が一括で借り上げる契約のことで、多くのパターンでは、個人が所有している土地に、マンションやアパートを新規に建設しその後一括で借り上げ、一定期間、家賃収入を補償するといったセットで契約するパターンがほとんどです。
不動産投資では、空室リスクが一番大きいリスクとして取り上げられるだけとあり、空室時でも不動産管理会社が一定期間家賃収入を補償するといった内容は大きな魅力に感じますが、現実ではそう甘いものではありません。
借り上げた家賃は見直されるのが原則
サブリース契約を結んだ後、新規で建設後、一定期間は新築ということで入居者が付きますが、年月が経過するとともに空室が目立つようになってきます。特に、地方などではその傾向は高くなってきており、交通の便や立地が悪い場所であればあるほど、地価が下落し、家賃も下がっていきます。
サブリース契約を結ぶ際の契約書には、大抵の場合「2年に1度家賃の見直しを行う」ことが細かい文字で記載されていることが殆どです。
また、賃貸借契約は、借地借家法に基いて、物件を借りている側(借主)を保護する前提で定められており、その中に、賃料の増減額を請求する権利があります。そのため、周囲の物件より家賃が高い場合は値下げできる権利が存在します。
サブリース契約の解約は数カ月分の家賃を請求される
サブリース契約を解除して、自分で家賃を設定し他の不動産会社と契約したいと考えた場合、サブリース契約を解除する際には違約金として4ヶ月程度の家賃が請求されることがほとんどです。
一方で、あまりにも空室が多く収益確保が困難な場合、借主である不動産管理会社から、一方的にサブリース契約を解除する通知を受けることもあります。その場合は、既存の入居者は退去してもらう必要があるため、全室空室のアパートだけが負債として残りアパートローンの返済が困難になるケースも続出しています。
愛知県の男性がサブリース契約を巡り訴訟を起こす
実際に、サブリース契約を巡るトラブルで訴訟に発展している例もあります。2017年2月22日付の朝日新聞の記事によると、愛知県在住の男性が大手不動産会社に対して、家賃の増額と減額した不足分約81万円の支払いを求めて訴訟を起こしました。
不動産会社契約して新規にアパートを建設した後に家賃収入が10年不変との内容で月額77万7800円のサブリース契約を結びましたが、その6年後に不動産会社の経営難を理由に家賃減額され、年間で120万円の家賃収入が減少してしまいました。
また、同様の契約を巡って集団で100人以上のオーナーが同社に対して訴訟を起こすことを検討しているとのことです。