過払い金があっても請求できない場合も。消滅時効に注意!

2016年10月24日付の記事で、過払い金の概要について紹介しましたが、借金経験がある方でご自身も該当するのではないかと心当たりがある方も多いと思います。しかしながら、過払い金があっても、最後に取引を行った時期によっては、時効を迎えたことで過払い金が請求できない場合もあります。

今回は、過払い金の返還請求できる権利がいつまでなのか、時効をさらに伸ばすことはできるのか解説します。

最終取引から10年で時効に!

a43ea6586203855584bb1fcd94cfab0f_s-crop

過払い金が発生していた場合、請求できる期間として10年という期間が法律で決まっています。

これは、法律で決まっていることで、過払い金は返還請求権があるわけですが、この返還請求権は債権者から債務者に対してお金や行為を請求できる権利「債権」に該当します。この債権に関しては、民法で債権は永遠に存在するものではなく、一定の期間行使しない場合は消滅することが定められています。

一定の期間行使せず消滅したことを「消滅時効」といいます。そのため、最終取引日より10年以内に過払い金の請求を行わなければ、消滅時効を迎えてしまい、過払い金が発生しても請求できなくなってしまうこともあります。

取引が複数ある場合は、取引内容によって請求可能な期間が異なる

借入れが1回だけであれば、最終取引日から10年を換算すれば、時効を迎える時期がわかりますが、取引が複数あった場合、いつを起点に時効を迎える時期を判断すればよいのか判断に迷ってしまう場合もあります。

例えば、平成4年4月1日に借入れを行い平成14年5月30日に完済(取引1)。さらに、平成14年8月26日から平成25年9月1日に完済した場合(取引2)で考えてみます。

取引1と取引2を1つの取引として考えるか、別々の取引として考えるかで消滅時効の時期が異なります。取引1と取引2を1つの取引として考える場合は、平成25年9月1日から10年後の平成35年9月1日が消滅時効となります。一方で、取引1と取引2を別々の取引として考える場合、取引1は平成24年5月30日が消滅時効となり、取引2は平成35年9月1日が消滅時効となります。

この2つの取引を1つの取引とみなすか、別々の取引とみなすかの判断については裁判所が判断しており、借入れを行った目的や取引内容、条件により異なります。両取引が同一の目的、取引内容、条件であれば同一の取引とみなされる可能性が高くなり、目的や取引内容、条件などが異なる場合は、別々の取引として判断される可能性があります。

請求できる期限を延ばしたいのであれば「催告」を行う

1664bb3366fe906cf2669d80d4d6f4f7_s-crop

過払い金に興味を持ち、請求したいと考えてはいるが時効が目の前に迫っている場合も多いと思います。時効が迫っている場合は、とりそぎ「催告」をおこない、賃金業者に返還請求を行う意思を表示することが重要です。

催告を行う場合は書面で賃金業者に郵送を行いますが、後になって、「書類を送ったが書類が届いていない!」といった言い逃れをするリスクを念頭に入れて、内容証明郵便を使うなど、送ったことが証拠として残る形で郵送するようにします。

催告を行うことで、時効を6ヶ月先延ばしにすることができます。この間に、過払い金返還してもうらにあたり裁判を提起することで、時効が中断しますので、その間に手続きを行い、過払い金を無事に取り戻すことができます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です