消費者金融でお金を借りた場合、賃金業法改正により、条件を満たすことができれば「過払い金請求」が可能です。しかしながら、実際に払いすぎた利息が手元に戻ってくるまでには、概ね半年程度の期間を要しますが、金融機関の財務状況によって、その期間は大きく変わってしまいます。
貸金業法の改正で、大手消費者金融は、利息の返還に追われるなどで経営状況が厳しくなってきていることが多く、過払い金を請求するまでにあらかじめ消費者金融の経営状況をしっかりと確認しておくことが重要になります。今回は、大手消費者金融「アイフル」の財務状況を見ていきます。
消費者金融「アイフル」の企業概要
アイフルは、1947年4月に福田吉考氏が個人経営として消費者金融事業を行ったのが始まりで、1978年2月に京都市左京区に資本金900万円で株式会社丸高として株式会社化して以降、吸収合併を繰り返し、1982年5月に現在の「アイフル株式会社」として現在に至っています。
企業名である「アイフル」は、愛情や優しさという意味の「Affection」と努力や進歩という意味の「Improvement」、忠実や信頼という意味の「Faithfulness」、結束の「Unity」、活気良いの「Liveliness」の各英単語の頭文字をとって「aiful(アイフル)」としています。
同社では、チワワを採用したインパクトがあるテレビCMを放映したことから、利用者が増えたことで増収増益に寄与していましたが、2006年に強引な営業活動や悪質な取り立てなど違法行為が相次いだことから全店舗に業務停止命令が出されたことに加え、賃金業法改正などにより過払い金請求が相次いだことから経営状況が悪化し、2010年には3000億円近くの赤字を計上しました。
同じく、賃金業法改正で他の消費者金融は、大手金融機関の傘下に入るなどで経営再建を目指しますが、アイフルでは「事業再生ADR」により裁判所などを通さず当事者通しの話し合いをベースで再建を行うこととなります。
過去3年間減収減益だが足元では回復傾向にある
アイフルの財務状況を日経会社情報で調査してみた結果、アイフル2014年3月期から2016年3月期までの過去3年間は減収減益となっています。
2014年3月期の売上高は919億円、その内、本業の儲けをしめる営業利益は225億円、営業外収益を加味した経常利益は247億円となっていましたが、2015年3月期は売上高が864億円で営業利益と経常利益は過払い金返還への対応などにより共にマイナスになり、396億円の営業損益、365億円の経常損益を計上しています。
2016年3月期は、過払い金請求の件数が落ち着いたことや、無人店舗などの新規出店や広告の積極展開などなど顧客獲得に努めた結果、売上高は877億円、営業利益は66億円、経常利益は69億円を計上したことで、足元での業績は回復傾向にあります。
自己資本比率については、2017年1月現在では18%となっており、企業が健全とされる30%には達しておらず、着実にキャッシュフローを稼ぐ必要性が求められています。
財務状況は回復傾向にあるものの注意が必要
アイフルの財務状況をまとめると、他の消費者金融が大手金融機関の傘下に加わったことを考えると単独で事業再生を行ったことなどから厳しい経営状況が続いたことを考えると、現状では決して良好な状態とは言えないものの、回復傾向に向かっていると判断できます。
近年では、広告の積極展開や店舗の拡大など新規顧客の開拓に力を入れており、確実なキャッシュフローを稼ぐ仕組みを構築しているものの、過払い金請求が更に増えることになれば、再び経営状況が悪化してしまう懸念があり注意が必要です。