全国銀行協会は、2017年11月28日(火)から12月1日(金)に実施した、銀行カードローンに関する消費者意識調査の結果を、2018年1月18日に発表しました。
当サイトにおいても何度か記載していますが、日銀のマイナス金利政策により銀行経営が厳しくなる中、新たな収益源として銀行カードローンによる貸付が加速したことで、2017年2月22日付けの記事で記載した通り、同協会がカードローンの審査の厳格化を求めていました。
今回は、銀行カードローンの審査の厳格化を勧める中、その後の銀行カードローンの動向に関する変化を見てみます。
銀行カードローンの利用者の属性
全国銀行協会のデータを元に筆者作成
まず、銀行カードローンを利用している方の属性を見てみると、年齢別では男性50歳台が最多で51.1%と約半分を占めている状況です。続いて、30歳台が21.9%、20歳台が8.9%と続いています。銀行カードローンの利用者は男性が9割という結果となっています。
収入を見てみると、個人年収は400万円未満が一番多く40.5%となっています。続いて、年収401万円から600万円以下が25.2%、601万円から1,000万円以下が22.5%となっており、年収が下がる毎に銀行カードローンの利用者が多い結果となっています。
職業では、会社員(事務系・技術系・その他)が62%、続いて自営業が10%、パート・アルバイトが7%となっています。
銀行カードローンの30%が借入総額が年収の3分の1以上!
全国銀行協会のデータを元に筆者作成
銀行カードローンの借入残高を見てみると、一人あたりのトータルの借入総額は50万円以下が44.6%と、少額の借入がほぼ半数を占めていることがわかります。続いて、51万円から200万円以下が31.6%、201万円から500万円以下が17.8%となっています。
銀行カードローンは、消費者金融とことなり元々銀行口座を保有している方を対象にお金を貸すことを目的としていたサービスということもあり、年収の3分の1まで貸付制限が設けられている「総量規制」の対象外ではありました。しかしながら、審査の厳格化で年収の3分の1を超えた貸付はできなくなってはいるものの、当調査の段階では約30%の方が年収の3分の1を超えてお金を借りている状況がわかります。
借入動機は「日常の生活費の補填」が最多
銀行カードローンを利用してお金を借りた動機について、一番多い理由としては「日常生活費の補填」が一番多く、割合にして28.7%となっています。続いて、「レジャーや趣味を楽しむため」が22.1%、「給与や賞与の資金不足の補填」が19.4%、給与収入の減少が10.5%、「冠婚葬祭・医療費など急な多額の出費」が8.8%となっています。
銀行カードローンの利用者の属性でも見てみた通り、銀行カードローン利用者の個人年収は400万円未満が40.5%と一番多い状況を考えると、収入が少なくなればなるほど日々の生活費が不足し、最終的に銀行カードローンにで補填するのも納得できる理由となります。
生活費の補填についてはどの年代でも多いですが、趣味やレジャーについは60歳台が特筆して多くなっており、逆に、20歳台は「急な多額の出費」が多くなっています。60歳台は時間的な余裕で趣味をはじめること、20歳台は貯蓄が無いことから急な出費に対応できず、銀行カードローンを利用してしまう動機が浮き彫りになります。