Amazonが小規模事業者向け融資「Amazonレンディング」を拡大!その狙いとは?

米国のインターネット通販大手のAmazonは米国と英国、日本で展開している小規模事業者向けの融資サービス「Amazonレンディング」を拡大する方針であることを英国の経済新聞であるFinancial Times紙が報じています。

Amazonでは、販売業者がスペースを借りてAmazonを通じて商品の販売ができる「マーケットプレイス」を展開しており、ここに出店する事業者を対象に融資を拡大することで、Amazonの生態系を構築し利用者を取り込むことで収益向上を狙うと考えられます。

Amazonレンディングとは?

Amzonレンディングは、短期間の融資サービスで、同社の販売スペース「マーケットプレイス」を利用して商品を販売している小規模事業者に対して、米国と英国市場では年率6~17%で最大12ヶ月の融資を提供しています。

日本市場においては、2014年2月に融資事業に参入し、融資金額は10万円から5000万円までで、利率は年率で8.9%~13.9%に設定されています。返済期間は3ヶ月から6ヶ月となっています。

国内の銀行で融資を受けると、様々な書類を記入したり信用情報機関より信用情報を調査を行い、面談を行うといった多くのプロセスが必要となりますが、Amazonレンディングを活用するとこれらのプロセスが一切なく、申し込みから最短5日(2回目以降は最短3日)で融資が受けられます

Amazonの在庫を担保にすることで貸倒れリスクを補う

Amazonレンディングは、国内の銀行の融資に比べて手続きが簡素化されている理由の1つとしては、販売業者がAmazonの倉庫で管理している在庫を担保にしていることです。

Amazonマーケットプレイスでは、国内にある楽天市場とは異なり、販売業者側で在庫を管理し注文に応じて発送するというプロセスをAmazonに委託することで、Amazonでは注文が発生した場合は自社の倉庫で預かっている在庫からスピーディーに顧客に発送することができる仕組みとなっています。

また、マーケットプレイスに出店している販売業者の売上などのマーケットプレイスの専用アカウントで管理しているため、Amazon自身で販売業者の売上や残高などキャッシュフローが容易に把握ができ、融資する際の信用情報として迅速に活用できます

そのため、万が一、融資先の販売業者のアカウント残高が無くなったり、返済がストップした場合は、Amazonが保管している在庫を差し押さえることが可能になっています。

Amazonの生態系を構築し更なる収益向上を狙う

Amazonが融資事業を拡大する背景としては、インターネット通販サイトというプラットフォームの地位を築き上げた現在では、販売業者と消費者を取り囲み生態系を構築することで、更なる収益拡大を狙うものと考えられます。

現在、Amazonマーケットプレイスに出店する販売業者は約200万余りとされていますが、マーケットプレイス出店業者に対して、融資を行うことで、ビジネスの成長を支援し、マーケットプレイスを通じて収益拡大を後押しすることで、手数料収入がさらに増えAmazonにとってもプラスとなります。

当社のコーポレートサイトにて、2017年6月5日に記載しましたが、Amazonの時価総額は4754億ドルで世界4位の座を獲得しており、プラットフォームとしての地位は確立されている状況です。このプラットフォームの地位を維持し収益を安定的に拡大していくためには、それらを取り巻く生態系を構築し基盤を強化していく必要があります。

インターネットの発達によって、今回のAmazonに加え、GoogleやAppleなどのIT企業がプラットフォームとしての基盤を確立する中で、金融とITが融合したフィンテックが台頭することによって、自社で保有している顧客データを元に簡単に融資や決済事業に参入できるようになり、既存のユーザーの取り込みが容易になりました。従来の金融機関は、既存の金融事業もITサービスに取って代わられる脅威も十分に考えられると言えそうです。

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