田舎に出かけた際、古い倉庫などに貼られている広告で「マルフク」の看板を目にされたことがある方は多いと思います。広告を見る限り、金融関連の会社であることがわかりますが、現在ではその実態を確認することが難しく、謎な看板として注目されています。
今回は、謎な「マルフク」の企業実態について詳しく調べてみましたので紹介します。
電話加入権を担保にした貸金業者
マルフクは、電話加入権を担保にお金を貸す金融業者で、中小企業や個人事業主、消費者向けにお金を貸したり、電話加入権を販売などを行っていました。
現在ではインターネットの普及により、一般電話では光回線を使い安価に電話が受発信できることに加え、SkypeやLINEなどIPv4を利用した無料通話などで世界中どこでも気軽に安価やり取りができる時代になりましたが、昔は加入電話を購入して電話を利用することが一般的でした。
家庭に敷設する際に、NTTから電話加入権を購入して電話を引く「加入電話」と電話加入権が不要で通話料が割高な「加入電話ライト」の2種類がありました。電話加入権はNTTから75,600円で販売されていましたが、2005年より37,800円に引き下げられました。
マルフクでは、この電話加入権を売買すると共に、消費者が保有している電話加入権を担保にお金を貸します。そのため、現在でもローンなどの審査などで固定電話回線があれば有利など言われるのも、審査基準に電話加入権を担保にしていた時代の名残でもありそうです。
1958年に丸福電話店として創業したのがはじまり
マルフクは、元々消費者金融ではなく電話屋として創業したのが始まりです。先程説明した電話加入権は大変高額であったため、昔は使わなくなった電話加入権を買い取った後に売却して利益をえる商売が盛んに行われていました。
マルフクでもこの電話加入権を売ることで収益を得ていたことに加え、この電話加入権を担保として金融事業を展開したことで、消費者金融としてのビジネスを拡大していきました。
2002年にディックファイナンス(現CFJ)に事業を売却
ただし、2000年台に入ると、電話加入権の担保価値が下落したことで、経営が厳しくなったことから、米国の金融大手シティグループの消費者金融「ディックファイナンス(現シティファイナンスジャパン)」に、資産の大部分を売却します。
生活キャッシングと振込ローンの事業については、そのまま継続して事業展開を行いますが、賃金業法改正が行われたことや、貸倒れが増加したことなどで、事業継続を断念し2006年に新規融資受け付けを停止し、2009年に賃金業登録の廃業を行っています。
ただし、マルフクでも当時は約定利率でお金を融資していたため、マルフクでお金を借りた方についても過払い金が発生している可能性はあります。次回は、マルフクで借り入れを行った過払い金は取り戻すことは可能なのかについて解説します。