個人の不動産投資向けの融資が増加傾向に。融資増加の背景と懸念点とは?

ここ数年の間、個人向けの不動産投資融資金額が増えています。不動産投資と言うと、お金に余裕がある方や土地をあらかじめ所有している方が、アパートやマンションを立てる為に行うというパターンが多かったのですが、今では平均収入のサラリーマンなどでも不動産投資を行う方が増えています。

今回は、不動産投資が増えている理由と問題点について考えてい見ます。

2016年度の個人向け不動産投資融資の金額は17兆7119億円

冒頭でも述べた通り、個人で不動産投資を行う方が増えており、平均的な収入であるサラリーマンや個人事業主、公務員など職業を問わず、不動産投資ハードルが下りつつあるのも事実です。

個人の不動産投資のシナリオを具体的に説明すると、10部屋のアパートを1棟まるごと購入した場合、10部屋分の家賃収入が得られ、その家賃収入の一部をローンの返済額に充てることで収益が得られます。また、節税としてのメリットを受けられるといったメリットがあります。

2017年2月10日付の日本経済新聞朝刊に記載されていた記事によると、2016年度の個人向け不動産投資の融資金額は17調7119億円で、昨年より2割近く増えているとの事で、不動産投資に乗り出す個人が増えていることを伺わせます。

個人が不動産投資に乗り出す背景は相続税対策

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個人が不動産投資に乗り出す背景としては、2015年の税制改正で相続税の課税対象が広がった事で、今まで相続税が掛からなかった人にも相続税が発生する可能性が高くなりました。そのため、保有している現金を不動産に変えることで相続税対策として活用したいというニーズが急増していることにあります。

不動産の場合は、現金や有価証券など時価で評価するのではなく、固定資産台帳や路線価などから算出して課税されることから、従来の試算に比べると節税対策になるメリットがあります。

また、2016年に日銀がマイナス金利政策を実施したことから、金利収入が減る中、金融機関が多額の資金を貸し付けることで金利収入を多く確保したいという狙いがあることから、一気に個人で不動産投資を行う方が増えています。

住宅の供給過剰を懸念。空室リスクも

2015年の税制改正や2016年に日銀のマイナス金利政策などにより、個人で不動産投資を行う方が増えていますが、日本では人口が減少する中で、住宅の供給過剰と空室リスクの懸念があります。

2017年2月10日付の日本経済新聞朝刊に記載された、国土交通省の住宅着工統計によると、2015年度は38万3000戸となっており、4年前と比べ3割強多い数字となっています。

人口が減少する中、個人での不動産投資が活発になることで住宅の供給過剰になる他、空室が広がり、ローンの返済負担が重くなることが考えられ、相続税対策その物のシナリオが崩れてしまうことが考えられます。

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