銀行が無担保で利用可能な個人向け融資を増やす背景とは?

近年、大手都市銀行や地方銀行など個人向け融資を積極的に増やしています。特に個人が無担保で利用できるカードローンの利用者を積極的に増やすべく各行の支店やATM、電車内などで積極的に広告展開を行っています。

今回は、銀行が無担保で貸付可能な個人向け融資を増やしている背景は何かを探っていきます。

カードローンの銀行残高は2016年は5兆4377億円

銀行が無担保で貸付可能な個人向け融資として代表的なのがカードローンがあります。近年、大手都市銀行をはじめ、地方銀行でも積極的にカードローン利用者を取り込む動きが加速しています。

2017年2月14日付の日本経済新聞朝刊の記事によれば、2016年のカードローンの銀行残高は5兆4377億円で、前年と比べて9.9%増加しているとのことです。

例えば、筆者が在住している神奈川県の代表的な地方銀行である横浜銀行では、カードローンの金利もマックスの15%以下の1.9~14.6%と低く抑えることで利用者を増やしており、無担保の個人向け融資の金額は前年と比べ286億円増えているとしています。

マイナス金利による伸びやなむ収益を穴埋め

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銀行が個人向けに無担保で利用できるカードローンを積極的に増やしている背景としては、2016年2月に日本銀行(日銀)が実施した「マイナス金利政策」があげられます。

金利とは、お金を借りる時のレンタル料に該当するもので、我々は銀行の預金口座にお金を預けると金利が付いてきます。一般消費者にとっては、銀行にはお金を預けているという感覚ですが、実際には、銀行側としては一般消費者からお金を借りており、そのお金で、企業に事業融資を行ったり、顧客の資産を運用するといった様々な使われ方をしています。

マイナス金利政策とは、お金のレンタル料に該当する金利がマイナスになることで、お金を預けるのに逆にレンタル料を支払う必要が発生します。我々が普段利用している都市銀行や地方銀行は中央銀行である日銀がお金を預かります。

その際の金利がマイナスとなることで、銀行側が金利を逆に負担させられるために、できるだけ、手持ちの資金を個人に貸し出すことで、金利による収益を増やすことでマイナス金利政策による収益の穴埋めを行う狙いがあります。

総量規制や利息制限法などの影響で消費者金融の経営悪化の隙を狙う

マイナス金利政策が、個人向けの無担保融資を増やしている動機にはなりますが、当サイトでも何度か取り上げている「総量規制」問題も大きく影響します。総量規制とは、2016年10月16日付の記事で記載していますが、個人に対して多額の資金を貸付ないようにするための規制で、貸付金額の目安としては個人年収の3分の1とします。

無担保の個人向け融資と言うと、今までは駅前などにある消費者金融がその代名詞として大きく活躍していましたが、総量規制で多額の資金の貸付が行えなくなったことや、利息制限法が施行されたことにより、過払金の請求が増えたことなどで経営が悪化し、大手都市銀行の傘下に入るなどし、消費者金融の営業活動は銀行の金融商品の一部となるなど、勢いを消しつつあります。

銀行では、法的な制限が施行される中、消費者金融の勢いが弱まったところを狙って、カードローン事業に相次いで参入しました。今まで、駅前などにある消費者金融からお金を借りることに抵抗がある方も多くいたことか、これらの層を取り込むことで、今まで事業融資や個人向けの建物や土地を担保にした住宅ローンに加え、無担保で利用可能なカードローンに力を入れることで、更なる金利収入を増やす狙いがあると言えます。

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