ソーシャルレンディングの利用が広がる、貸付先の情報開示が課題

インターネットでお金の借り手と貸し手を仲介するサービス「ソーシャルレンディング」の利用が広がっています。2016年2月に日銀がマイナス金利政策を行ったことで、利回りの高さから個人投資家などの間で利用が広がっています。

日本経済新聞が2016年10月29日の朝刊で報じた情報によると「貸付が行われた金額は2016年度は約400億円となった」としており、貸し手と借り手側の供給と需要が共に高まっているといえます。

ソーシャルレンディングとは?

ソーシャルレンディングとは、冒頭でも少し述べましたが、お金の借り手と貸し手をインターネット上で仲介するサービスです。

似たようなサービスとして2017年2月18日の記事で紹介した「クラウドファンディング」というサービスがありますが、こちらも基本的に仕組みとしては同一ですが、クラウドファンディングは、単純にお金の貸し借りだけではなく、あるプロジェクトに対してお金を寄付したり、そのプロジェクトが開発するサービスや商品を購入する、企業の株式を買い付けるなど資金を出資したり調達する方法が多様なのが特徴です。

ソーシャルレンディングは、お金を貸し借りする所に特化しており、運営会社が投資家から資金を集め、集まったお金でベンチャー企業や中小企業など資金調達を行いたい企業に対して融資を行います。

マイナス金利政策などで手持ち資金の運用難により注目が集まる

お金の貸し手である投資家の間では、2016年2月より日銀が実施したマイナス金利政策により、利息収入が減少する中で、ソーシャルレンディングは利回りが5%から8%程度と高いことから近年注目を集めています。

また、2016年は、チャイナショックを筆頭に新興国経済の鈍化が叫ばれたことや、英国のEU離脱問題などから株安が進み、日経平均株価は1万6000円から1万7000円台で推移していたことで、株式運用で利回りを確保することが難しかったことも影響しているものと考えられます。

ソーシャルレンディングの多くは、不動産を担保にして不動産事業者に貸し付ける例が多いことから、実態がわからない企業に投資するのに比べると、不動産という目に見える固定資産を担保にするおとで投資家から資金を集めやすくする他、貸倒れリスクを最小限に抑える仕組みも用意されています。

ソーシャルレンディングは賃金業法適用、情報開示の整備急務

ソーシャルレンディングは、投資家にとって高い利回りが確保できることから、魅力的な運用先にも見えますが、この様にソーシャルレンディングを利用する事業者の多くは、信用力の問題により金融機関からお金の借り入れが難しい場合が多く、その受け皿としてソーシャルレンディングを利用するケースも多いです。

ソーシャルレンディングは金融商品取引法の適用ではなく賃金業法の適用となることから、お金の貸し借りは匿名で行われることが多く、融資先の事業内容など詳細な情報が得られないこともデメリットとなっており、必要な情報開示ができるようなしくみを構築することが求められます。

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